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デザインよりも先に決めるべき“ブランドの言葉”とは
2025.10.27コーポレートブランディング
デザインよりも先に決めるべき“ブランドの言葉”とは
【目次】
ロゴや色、レイアウトは目に入りやすく、議論もしやすい要素です。しかし、ブランドの核は見た目ではなく「言葉」にあります。
言葉は、企業の約束・価値観・態度を定義し、社内外のコミュニケーションを導く“設計図”。この設計図がないままデザインを先行すると、後から表現のブレが生じ、制作物が増えるほど一貫性を失います。
本記事では、デザイン前に決めるべき“ブランドの言葉”を、実務に使える手順とテンプレートで解説します。
なぜ先に“言葉”なのか——デザインより言語設計を優先する理由
- 方向性の基準になる:制作物ごとに判断が揺れず、意思決定が早くなる。
- 社内の共通言語になる:部署ごとの表現差を減らし、採用・営業・広報を横串でつなぐ。
- 顧客体験の一貫性:サイト、パンフ、SNS、セールストークで“同じ温度”を届けられる。
- コスト最適化:手戻りが減り、制作・運用の時間と費用を圧縮できる。
“ブランドの言葉”の正体:何を決めればよいのか
最低限、次の7点を言語化しましょう。
- ブランド・ステートメント:私たちは何者で、何のために存在するのか(100〜150字)
- バリュー・プロポジション:誰に、どんな独自価値を、どう提供するのか
- タグライン:短く記憶される一言(7〜12字程度が目安)
- メッセージ・ピラー(3本):伝える柱。例:信頼性/革新性/伴走
- プルーフ(裏付け):数字・事例・仕組みなど客観的根拠
- ペルソナ向け差分コピー:顧客タイプ別に言い換えた要約文
- トーン・オブ・ボイス:語り口のルール(丁寧・温かい・誠実 など)
言葉をつくる5ステップ(ワークショップの進め方)
- 事実集め:顧客の声、勝ち筋、失注理由、レビュー、実績データを収集。
- 洞察の抽出:“選ばれる理由”と“選ばれない理由”を一行で言語化。
- 核の文づくり:100〜150字のステートメント案を3案用意し、共通語を抽出。
- タグライン検討:動詞・名詞・比喩の3パターンで10案ずつ発散→絞り込み。
- 検証:社内外5名に読後感をヒアリングし、誤解や温度差を補正。
ミニテンプレ(書き出し雛形)
- 私たちは、(顧客/社会)の(未充足課題)に、(独自の方法)で応え、(望ましい変化)を実現します。
- 私たちの価値は、(強み)×(姿勢)×(再現性)で構成されています。
トーン・オブ・ボイス設計:語り口の統一ルール
同じ内容でも、語り口が違えば印象は変わります。トーンは「声の設計」。
- 性格定義:誠実/穏やか/前向き(Do)/煽らない・専門用語に逃げない(Don’t)
- 文体ルール:常に「です・ます」。主語は“私たち”。断定は根拠とセット。
- 語彙ガイド:推奨語(伴走・対話・再現性)/非推奨語(最強・圧倒的・バズ)
- 長さの基準:見出しは24字以内、本文は1文40字目安、箇条書き優先。
コピーの柱をつくる:メッセージ・ピラーとタグライン
“何でも言う”と伝わらない。だからこそ「柱」を3つに絞ります。
- 信頼:実績・仕組み・プロセスで不安を解消する。
- 価値:顧客の成果にどう効くかを、前後比較で明確に。
- 人:どんな姿勢のチームが、どう伴走するかを示す。
タグライン例の型(用途に合わせて言い換え)
- 変化を、味方に。
- らしさで、選ばれる。
- 想いを、形に、成果へ。
タグラインは「覚えやすさ>説明量」。説明はサブコピーや本文で補いましょう。
運用とガバナンス:社内に浸透させる仕組み
- 1枚ガイドの配布:ステートメント、タグライン、トーン、NG表現を1枚に集約。
- 雛形の用意:ニュース稿、採用募集、導入事例、代表挨拶のテンプレを配布。
- レビュー体制:公開前チェック(言葉・事実・法務)の3点セットを運用。
- 四半期見直し:施策結果と顧客の言葉を反映し、言語ガイドを更新。
Webへの落とし込み:WordPressで“言葉の一貫性”を保つ
サイト運用で言葉が崩れないよう、CMS側にも仕掛けを作ります。
- 共通ブロック化:タグライン、ステートメント、CTAをGutenbergの再利用ブロックに。
- フィールド設計:事例投稿に「課題→解決→成果(数値)」の必須項目を用意。
- ショートコード整備:「お問合せ」「資料DL」など文言とURLを一元管理。
- 校正チェックリスト:トーン遵守・語尾・数字の単位・根拠リンクを確認。
こうした“言葉の仕組み化”により、制作パートナーや新担当者が入っても表現がぶれません。
まとめ|言葉が決まれば、デザインは“揺るがない”
ブランドは「見た目」より先に「意味」を決めることで強くなります。
ステートメント、タグライン、ピラー、トーンという“言葉の骨格”が定まれば、写真・色・レイアウトは自然と選択肢が絞られ、どの制作物も同じ方向を向きます。
まずは小さく、100〜150字の核の文と短いタグラインから。そこに根拠と語り口を重ね、Web・パンフ・SNSに展開していきましょう。
言葉が決まれば、デザインはゆるがない。——これが、失敗しないブランディングの最短ルートです。
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